小学生の頃、こんなもので魚が釣れるのかと思っていた。
でも憧れで、ずーっとプラスチックのケースに入っていた、スピナー・ブレットン。
40年の時を超えて、初釣果。
小学校の頃、ルアーフィッシングのブームがやってきた。
ブラックバス釣りがメインだったがその他にもいろいろと。
ただ小学生の身分では道具すら買えない。だいたい釣りにすらいけない。その頃やっと買えたのがこのリール。ハンドルを回し、整備しているだけで楽しかった。
ルアーだって本当はプラグが欲しいけど、お金がない。スプーンとスピナー、それも安いパチモンのルアーばかりの中で、唯一のメーカー品がこのブレットン。もったいなくて使えなかった。
その後、バス釣りにはいくけれど、スプーンとスピナーは底に引っかかってなくなるから、安いフローティングのプラグとワームばかり使ってたっけ。
このブレットンで、いつかトラウトを釣ってみたいという思いで眺めていた。川釣り入門にも渓流のニジマスやヤマメには小型のスピナー、ブレットンやセルタって書いてあったし。
でも子供心には、バスはともかくヤマメやイワナがこんなもんに飛びつくのかという、なんとも信じがたい思いもあった。さすがにこれをエサと間違わないだろう、なんて。
思いがかなわぬまま、月日は40年流れた。
たまたまふとしたきっかけで何度か渓流に足を運ぶことになった。ルアーで普通に釣れるのよね。で、渓流は小型のスピナーが。
満を持して、ブレットンの投入。
スピナーの名品、長きに渡り、まだ現在も販売されているのだから、釣れることは間違いない。でもこの40年の思いがなんだか心をソワソワさせる。
ある新緑の眩しい5月のこと。山へ。
活性が高いと見えて、へたくそな釣り人にもなんとかイワナがスピナーで。
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