夏の終わり、子供の頃に遊んだ、鳥取での仕事だった。
憧れていたリール・ミッチェル308を手に入れた。スピナー、スプーンで釣れることも分かった。
機は熟した。
衣装の入ったスーツケースに道具を忍び込ませ、仕事前の1時間、川に向かったのだった。
そう簡単に釣れるはずはないと思っていた。いや釣るつもりもなかった。運動靴にジーパンで、国道沿いの川に入るのだから。そして季節は夏の終わり。
ミッチェルでルアーを投げてみたい。ただそれだけ。
だからなんだかうきうきした気分だった。
前日に少し雨が降ったようだが、渓流の水は濁っていない。
先日釣れたAR-Sスピナーを結んだ。ラインは中古で手に入れたときにスプールに巻かれていた時そのままで、ロッドは急場で仕入れた中古の安いリョービのテレスコロッド。これが憧れのミッチェル308の初出番になる。
ラインは大丈夫かなあ、リールはちゃんと巻けるかなあと不安になりながら、何の気なしに第一投目を投げ入れた。
「あれっ、引っかかったかな。」と思った瞬間、
釣れてしまいました。
イワナ。
子供の頃から憧れのルアーでイワナ。
何とあっさり。
釣りの神様はおそろしいことをするもんだ。釣りのビギナーズラックはよく聞くが、第一投目とは。
ぼんやりしていた目が一気に覚めました。ちょっと手が震える思い。
釣れるときは釣れるんだなあ、イワナ。
あの日の自分に教えてやりたい。
こんな簡単に釣れるということを。
ついでにもう一匹。
ヤマメまで。
40年前の小学生の時と同じ、イワナとヤマメ。
しかも、同じ川で。
ほんの一時間ほどの時間だったが、舞い上がるようなひと時になった。
釣りの神様、どうしてくれるんだ。
そういえば、滅多にやらない釣りなのに、その都度坊主なく釣らせてくれて、しかも今回は劇的な演出だった。
やられた。
また、釣りにいきたくなる。
こうして再び釣りが好きになるのだなあ。
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