2020年11月20日、漫画家の矢口高雄さんがお亡くなりになった。言わずと知れた『釣りキチ三平』の作者である。
その日、北の大地で魚釣りをしていた。これは、なんという巡り合わせなのか。
その日、諸事情が重なって北海道に行くことにした。
特に、用事はない。ただ、飛行機に乗って、北海道に行くことだけが目的で。
とにかく、ふらりとドライブをする。やることはそれだけ。
11月も末になり、北海道はもう冬支度。釣りも難しいとは思うが、せっかくなので一応、道具をかかえて。
しかし、着いてみると、この時期としては信じられない20℃になろうかという暖かさ。
これはやるしかないでしょうと、ドライブの予定を変更し川へ。
ウサギやキツネの姿を見ながら、北海道に来たんだと実感。
人気のない林道をすすみ、現場へ。
冬の気配そのものの景色とは裏腹の暖かい陽気。また、風ひとつなくシーンと張りつめる静寂が本来不気味に感じそうなところだが、なぜか心が落ち着いた。
なににも、誰にも邪魔されないひとりの世界。そして自身が自然と一体化した気持ちさえした。
ぶらぶらと川を進むと、
それほど反応がいいわけでもないが、小型のブラウントラウトがぽつぽつと。
釣りキチ三平の影響ありあり。
その昔、イトウを釣りたくて、北海道に住みたくて、北海道の大学を受験して、落ちたこともあったっけ。
そんなことを考えながら、あっという間に日暮れに。
あまりの静けさに、ヒグマ多発地域であること忘れてた。
夜は小さな居酒屋で、昔のこと、釣りキチ三平のこと、イトウのことに思いを馳せながらひとりで一献。
ニシン切込、イカゴロ焼きがたまらなく旨い。
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