人間とはなんと欲深い生き物なのか。
あの憧れていたミッチェル308が手に入ったのに、またそれでは物足りなくなる。
ミッチェル408も追加してしまった。
ミッチェル308プリンス。部品まで取り寄せ、自らメンテの後、実釣までこぎつけ、イワナにヤマメ、ブラウントラウトまで釣りあげたのにもかかわらず・・・。嗚呼、欲望とはおそろしい。
いや、もう十分なのだ。
ゴリゴリという巻き心地も今のリールを知らない私にとってはそれすら快感のはずだったから。
ただ、実際釣ってみると、巻くのが遅い。遅すぎる。上流に向けてアップで投げたルアーを川の流れより早く引いてくることができない。必死でリールを巻き、ロッドまで使ってがんばっても引いてきても、底の石に引っかかる。
腕の問題も当然あるが、ちょっと流れが早い瀬になると、アップでは釣りにならない。
岸に上がらず、川通しでじゃぶじゃぶと上流に向かっていく千歳の渓流釣りで思い知らされた。
なんとかならないか。
そこでミッチェル408である。
なんでもプラナマティックを搭載した5.5:1のハイスピードのグリーソンカッターによるスパイラルベベルギアらしい。
訳のわからん横文字が男の子心をくすぐる。
といっても、私が生まれた70年代に製造されたものだが。
もう完全に目的が変わってきている。本気で釣りをするなら今のリールを買えば済みそうだ。が、乗りかかった船だ。
もとより本気で釣りをするつもりもない。
釣りに行くかどうかもわからない、趣味とすらいえない、ほんの気晴らし。
海外のオークション、安いのはいくらでもあるようだ。送料の方が高くつくくらい。
エイッ。
押しちゃった。
もとあった、308プリンスよりもよっぽど傷のない408。
汚れを取ればこの通り。
機関も問題ないようだ。
ベールアームの返りが悪いのは自分の手でひん曲げて直した。
相変わらず、ちょっとちゃちな感じがしないでもないが、逆に可憐で美しいとも言える。
あばたもえくぼ、たで食う虫も好き好き、とはよく言ったものだ。
308に比べると巻きは重い。5.5:1のハイスピードのグリーソンカッターによるスパイラルベベルギアは、ねっとりとした巻き心地。グリスの良しあしもあるだろうが、ギア比が上がっているのだから当然といえば当然の話。ネイビーブルーの本体の色も併せて308より高級感を増した感じがする。
これで渓流、釣れるぞ。
また釣りに行かねば。
でもいつになることやら。
ビューンとリールを回しながら。
0 件のコメント:
コメントを投稿