ほんとに今年は自然災害に悩まされます。
各地の本当に甚大な被害の方々にはお見舞い申し上げます。それに比べればとるに足らないことことかもしれませんけれど。
2018年、台風21号の影響で我が家も飛来物の影響で瓦が砕け飛び、二階のみならず一階まで雨漏りするという大惨事。御多分に漏れず皆様同様、業者が見つからず、ブルーシートの養生すらままならずに雨におびえる日々。何とか福井の業者さんに助けていただき、やれやれ。やっと雨の夜もゆっくり寝れるなあと思っておりました。
瓦は一応直していただいたとはいえ、なんだか心配で夜な夜な雨漏りの時に突き破った天井から屋根裏を覗き、大丈夫と確認して隣の部屋で作業していると、天井をゴソゴソと走り回る物音。めったにこないのですが、イタチかネズミか。かなんなぁと思って何気なくそちらに目をやると、なにやら影が動いてる。私、なぜだか視力だけはいいのです。2.0の視力が暗闇にはっきりととらえた獣のすがた。イタチかネズミか、はたまたアライグマetc.。
夜中12時からの格闘の始まりでした。
押し入れの足跡からしてイタチっぽい。雨漏りの湿気対策のため押し入れを開け放した続きの二間。どうやっても天井の穴には戻れない、この部屋のどこかに奴はいる。ただ静かにひそんで物音一つたてない。
まず捕まえるために虫取り用の網を持ってくる。しかし、もしそんなことすればニオイで着物の箪笥がおいてあるこの部屋はめちゃめちゃになる。
気を取り直し、辺りを見回すと置いてあった着物を包んだ風呂敷の上にご丁寧にフンがしてあるではないか。イタチがなんか落としたよ、フーン、などと言っている場合ではない。少しづつ大切なものを片付けながら奴のテリトリーへ侵入する。
いや待てよ。ここで見つけたところで、こちらは捕まえるつもりはないが、奴には逃げ場はない。窓まで1mもないとはいえ「ここが窓です」と教えてやりようがない。それこそ走りまわられてこれ以上フンでもまき散らされたら話にならない。
あらためて、窓を開けた。そこにイタチのために逃げれる階段をこしらえよう。そこに追い込み、逃げさせる算段だ。なんで侵入してきたやつのために逃げる道をこしらえたらなあかんねん!
ひとりぼやきながら階段を作っていると、なにやら視線を感じる。ふと上を見ると大きな天井の穴からもう一匹イタチが顔を出しのぞき込んでいるではないか!あまりの不意を突かれ、「ギャー!!」ともなんともつかぬ声が出るが、そんなことはお構いなし。不思議そうな顔をしたまま白い鼻をひくひくさせながら覗いている。「こいつら明かりが嫌いなんと違うんか」とまたもぼやきながら懐中電灯とともに「シーッ、シーッ」と威嚇しても知らん顔。腹が立つので棒でつついてやったら、一瞬顔を引っ込めたが、また10秒ほどしてまたのぞき込みやがる。なめてんのか!とにかくドンドンと天井を突きまくり、いなくなったのを確認してから、何はなくとも天井をふさがなくてはならない。
今回ほどいらなくなった段ボールが役に立った日はない。捨てろ捨てろと千度言われていたのだが、いつかいる時が、と言っていたがこんな時に大活躍するとは。「どうだ、ざまあみろ」とひとりつぶやいても仕方がない。
またも段ボールで防御しながら追い詰めていった先は着物箪笥と壁の間。懐中電灯の明かりの先に身動きもせずじっとこちらを見つめている。「なんもせえへんから、逃げてくれ」というこちらのささやきにも答えることなくじっとしている。また視線をこちらから一時たりともそらさない。あんなに小さな体なのだが、なんだか殺気すら感じる視線だ。
熊と会ったら目をそらさずにうしろに後ずさりしろ、とは聞いてはいるが、弱いものが強いものに相対するときには、最後、死ぬ気で見つめるしかないのかなあと思う。
そんなことはどうでもいい、「早く逃げてくれ!」だがこちらの気配を感じると動こうともしない。箪笥を動かすわけにもいかず、ちょっと放置してやることに。明かりも消し、とにかく静かに。何とも頼りのないことだ。
こちらに逃げてこないようにだけ見張りをして10分。箪笥の裏に明かりをつけても姿は見えない。まったく物音もさせず私のこしらえたら階段をのぼって逃げって言ったに違いがない。何のお礼も言わずに。
辺りを片付け、時計を見ると3時を回っておりました。いやまあ何とも呑気な格闘ですが、もうふらふら、せっかく雨漏りから解放されたのにまた寝不足です。
今頃はあの天井裏から覗いていた奴と二人ずれ、どこかをさまよっているのでありましょうか。
もうあれだけ優しくしてあげたんやから生涯来ないでね。
ぼくらはみんな生きている。
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